三大噺　お題：チョコ／女子／店
作：こうけい


くもり空に風花が舞う中、俺はふらりと外へ出た。
今日の寒さは、空気がピンと張り詰めたように厳しい。
厚手のコートを着込んでいても、冷たさが肌までしみてくるようだ。
しかし、こんな日であっても、いやこんな日だからこそ、俺はアイスを食べたくなる。
それも、寒空の下で食するのが好みなのだ。
うれしいことに、最近は冬場でもアイスの需要があるから、
たいていの＜店＞に行けば売っている。
俺は、ふと目についたコンビニに入り、店内の暖かさに感謝しながら、
アイスの入ったガラスケースへと向かった。
＜チョコ＞でコーティングされた棒付きアイスを一本手に取り、
レジで代金を払って、再び寒空の下へと戻る。
近くの公園にある大きな木によりかかりながら、アイスを食べるとしよう。

俺は袋を開けて中の棒をつまみ、アイスを取り出そうとした。
ん？なかなか取れない。アイスが袋に凍りついているのか？
俺は袋の開いてない端をしっかりとつまんで、力いっぱい棒を引き出す。
すると袋から、白いバニラアイスが飛び出してきた。

！？
チョコはどうなった？
俺は慌てて袋の説明を確認する。
その白いバニラアイスは、紛れもなく、チョコの中に入っていたものだった。
袋の裏側には、チョコのコーティングが抜け殻のようにくっついていた。

結局、俺はまずバニラアイスだけを食べてから、
袋を裏返してチョコを食べるはめになった。
チョコとバニラをいっしょに食べるからこそおいしいアイスだというのに……。

さて、そろそろ家に帰るとするか。
アイスをきちんと食べられなかったせいか、寒さがいっそう皮膚にしみ入ってくるように思える。
その一方で、体の中のほうはなんだかむずがゆくて、早く服を脱いでしまいたい気分だ。

帰宅した俺は玄関でボタンを外し、コートを脱ごうとした。
ん？なかなか脱げない。コートが風雪で凍りついているのか？
俺はコートの両襟をしっかりとつまんで、力いっぱいコートを体から引きはがす。
すると中から、小柄な＜女子＞の裸体が飛び出してきた。

！？
俺の体はどうなった？
俺は慌てて全身に手を回し、次に洗面台の鏡の前で自分の姿を確認する。
その女子の裸体は、紛れもなく、今の俺そのものだった。
コートの裏側には、男子の俺の体が抜け殻のようにくっついていた……。

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