女珀館の若女将シリーズ
５００００ＨＩＴ特別編「ｍｋ８４２６さんご招待の巻」
作：こうけい
（20030305 発表）
みなさま、こんにちは。「観光旅館 女珀館」若女将のこうけいでございます。
お待たせいたしました。今回は、ジャスト５００００ＨＩＴを踏まれました、ｍｋ８４２６を当旅館にご招待いたしました。
はたして、ｍｋ様にはどんなＴＳが待っているのやら…。
ｍｋ８４２６「こんにちはー、今日は御招待どうも」
わたし「ｍｋ様、ようこそいらっしゃいました。お部屋はこちらでございます」
ｍｋ８４２６、若女将に案内されて奥の部屋へ。
わたし「お食事は６時でよろしいでしょうか」
ｍｋ８４２６「ところで若女将、これは何かな？」
部屋のテーブルの上には、ハートや星のマークがちりばめられたステッキが置いてあった。
わたし「こちらのステッキですね？
ｍｋ様にぜひお使いいただきたく、用意いたしました」
ｍｋ８４２６「それはわざわざすみませんね、若女将」
わたし「さあ、どうぞ握ってくださいませ」
ｍｋ８４２６「こうかな？」
わたし「あとは、『あなたの心、読んだバイ♪』と呪文を唱えていただければ結構ですわ」
ｍｋ８４２６「うん、…………あなたの心、読んだバイ♪」
チャラリラリラリラリラ〜〜ン！
ステッキを振り回すと、妙な音とともに、ｍｋ８４２６の体は光に包まれていった！
やがて、光の中から、ピンクのかわいい衣装に包まれた少女が現れた。まるで２０年前のアイドル歌手のようだ。
ｍｋ８４２６「んん？ なんだこの服！ ……声まで変わってる！」
わたし「ｍｋ様、お気づきでしょうか？ 魔法少女に変身ＴＳなされたのですわよ」
ｍｋ８４２６「なんだって！？ 私が魔法少女？」
わたし「体のすみずみまで、おたしかめあれ」
ｍｋ８４２６「それじゃあまず……ないっ！！
パニエでふくらんだフリル付きミニスカートに、ペチコートの下から手を入れて、お約束の確認をするｍｋ８４２６。
ｍｋ８４２６「だったらこっちは……あるぞ！ ふわふわじゃないか！」
自分のものになったふくよかな胸を、服の上から何度も手もみする。
わたし「おわかりですわね。ＴＳおめでとうございます」
ｍｋ８４２６「わっはっは、これはすごい！」
たちまち環境に順応するｍｋ８４２６だった。
わたし「ｍｋ様、そのお姿、さっそくほかのかたがたにもお見せしてみてはいかがですか？」
ｍｋ８４２６「おっ、それはいいね」
わたし「ただ……できれば、女言葉を使っていただければうれしいのですけど」
宿泊客「すごいぞあの衣装、なんかの営業か？」
廊下を行き交う宿泊客たちは、ｍｋ８４２６の服装を奇異な目で見る。
ｍｋ８４２６「そりゃあ、ＴＳ魔法をふりまくバイ♪」
ステッキから出た光の粉が、男性宿泊客たちにふりかかった。
宿泊客「うわっ、胸が！」
ｍｋ８４２６「わっはっは（爆）！ 次はコスチュームよ！」
宿泊客「げげっ、あひゃひゃあーっ！！」
魔法を浴びた宿泊客たちの浴衣が、ｍｋ８４２６と色違いのフリフリヒラヒラ衣装に変わってしまった。
ｍｋ８４２６とＴＳ被害者（？）たちは、帳場に集められる。
背丈もさまざまな彼女ら（？）の衣装は、まるで１２色そろいの色鉛筆のようだ。
ｍｋ８４２６「１２人そろっちゃいました。これからどうしましょう？」
わたし「決まってますわ。みなさんでアイドルユニットを結成して、芸能界にデビューなさるのはいかがでしょうか？」
ｍｋ８４２６「大賛成！ あたしたち、アイドル魔法使いになるのね！」
宿泊客「それっておもしろそう！」
被害者のはずの宿泊客たちも、すっかり乗り気だ。
わたし「それでは、ユニット名前は『とらんす。ウィッチーズ』にいたしましょう」
句点を中間に入れる命名法則（？）は「こうけい。オルグ」と同じである（爆）。
ｍｋ８４２６「若女将の命名でしたら、もちろんＯＫですよ。みんなも、いいかな？」
一同「おーっ！」
大女将「大成功ですわね」
わたし「大女将のアイテムのおかげですわよ、ありがとうございます」
大女将「さあ、女珀館グループの芸能事業、がんばりましょうね」
大女将とこうけい、しっかりと握手を交わす。
１２人と若女将、テレビ局へあいさつに行く。
けれども、思ったとおり扱いはぞんざいだ。
プロデューサー「なんだい？ 僕はこんなガキ集団を相手にするほど暇じゃないんでね。まあ、５分だけ話を聞いてあげようか」
わたし「さあｍｋさん、やってしまいなさいな」
ｍｋ８４２６「あなたの心、読んだバイ♪」
プロデューサー「うひゃひゃあ〜っ！ 女になっちゃったよぉ〜！
いい、いい！ 君たち、僕の番組に出してあげる！ いや、出てください！」
こうして、バラエティ番組の生放送にゲスト出演した１２人。
司会者「魔法少女アイドルですか。どんな魔法が使えるんでしょうかね？」
ｍｋ８４２６「ＴＳ魔法で、みなさんの心をとらえちゃうバイ♪」
司会者「へえ、ティーエスですかあ。……あれれれ〜〜！！ これはいったい！？」
魔法のステッキを振りかざすと、司会者やほかの出演者たちがＴＳしてしまった！
たちまちお茶の間は騒然！ テレビ局には問い合わせ電話殺到！！
芸能界全体がＴＳパニックになったのである！！！
もちろん、ＴＳしたくて共演したがるタレントも続出！
女珀館の帳場で、こうけいがほくそ笑む。
「ピンクちゃーん！！」
「あなたの心、読んだバイ♪ そりゃあっ！」
「あれれれれ〜っ！ 体が〜っ！」
公開歌番組。「とらんす。ピンク」ことｍｋ８４２６の魔法を浴びた観客たちが、喜びながらＴＳ変身する。
たちまちのうちに、１２人の魔法少女アイドル「とらんす。ウィッチーズ」は大ブレイク。
テレビ、ラジオ、ＣＤ、雑誌、コンサート、アニメ、テレビゲーム……。メディア展開はとどまるところを知らない。
もちろん、アニメやテレビゲームでは本人たちが自らの声をアテるのである。
「とらんす。ウィッチーズ」の所属事務所でもある女珀館は、旅館としても番組のスポンサーなどとして大宣伝をかける。おかげで知名度が急上昇、連日満室と相成った。
とくに人気が高いのは、なんといってもｍｋ８４２６。
なにしろホンモノの魔法を使って、ファンや共演者たちをＴＳさせてしまうのだから。
彼女はテレビドラマにも堂々の主演を果たした。それも男女二役、あの『さんかくはぁと』のリメイク版。
なにしろ、女装やアテレコの不自然さがまるでなく変身ができるのだから、ｍｋ８４２６にははまり役以外の何物でもない。
ｍｋ８４２６の魔法のステッキはおもちゃとしても発売された。ただし、箱には「てぃーえすは、できません」と注意書きがあるけれど。
しかし、そうした大人気が、ｍｋ８４２６をだんだんとうぬぼれさせていった。
わたし「なんですって！？ ｍｋ様が独立されたいと？」
番頭「もう１２人いっしょのユニットは飽きたから、ソロデビューしたいというのです」
わたし「困りましたわね。懐柔策を考えないと」
ｍｋ８４２６「若女将、忙しいあたしを呼びつけて、なんの用？」
わたし「ｍｋ８４２６様。女珀館の大広間でステージをおやりになりませんか。
ギャラははずみますよ」
ｍｋ８４２６「えーっ、何それ！？ あたし、今さら旅館の大広間って柄じゃないでしょ？
お断りするわ！ ホテルのディナーショーだったらいいけど」
交渉は決裂した。
ｍｋ８４２６は歌番組に単独出演。ソロデビュー曲を歌っている最中のことだった。
ｍｋ８４２６（あれ？ 体がなんだか……）「あああわあああ！？」
観客「ｍｋの体が、お、男に！？」
なんと、ステージ上でｍｋ８４２６の衣装が破れ、中から男のたくましい肉体が現れてきたのである！
ｍｋ８４２６「うぐ！ こ、声が……」
声までもとのｍｋ８４２６の男声に変わってしまう。もう歌どころではない。
ｍｋ８４２６「こうなったら魔法よ！ あなたの心、読んだバイ♪ ……よ、読んだバイ！？」
もう、ステッキは魔法を放たない。
わたし「女珀館の言うことを聞かないからですわ」
大女将「いい態度ですわよ、こうけいさん」
こうしてｍｋ８４２６は芸能界から消えた。
ｍｋ８４２６「いまさら、入れてはもらえないだろうな」
行くあてもなく、女珀館の門の前にしゃがみこむｍｋ８４２６。すると、次第に眠気がおそってきた。
ｍｋ８４２６「んんん……ここは？」
女珀館の和室で目覚めるｍｋ８４２６。
ｍｋ８４２６「なんだ、夢か。ずいぶんとリアルだったけどな。
さあ、朝食の時間かな？」
ふとテーブルに目をやると、見覚えのあるステッキが……。
（了）
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