女珀館の若女将シリーズ
「セールスレディの巻」

作:こうけい
(20020531発表)


女珀館に風変わりな来訪者が現れました…。

大女将「ちょっと番頭さん、こうけいさんの居所、わかりませんこと?」
番頭「若女将ですか?私も存じませんが」
珍しく、大女将が館内でこうけいを捜しまわっている。
大女将「この書き入れ時に、こうけいさんどこに行ったのかしら?」
大女将が通用口を通りかかったとき、見かけない小柄な女性が立っているのを見た。
大女将「どのような御用でしょうか?」
女性「私はこういう者です」
言いながら、女性は1枚の名刺を差し出した。
大女将「ココロとカラダの悩み、お受けいたします……」
女性「詳しくはこちらのリンクを参照してくださいね。お代はいただいておりません。なんなりとご用命ください」
大女将「そうですわね。でしたら、若女将を呼んでほしいですわ」
女性「ええ、わかりました」

女珀館の客室にて。
「あなた、どうしたのその着物?」「おまえこそなんで若返った!?」「パパもぼくもおねえちゃんになっちゃった〜」

大浴場にて。
「うわっ!体が勝手に…!」「いいよぉ、この胸〜」「ここは女湯か!?」「げげっ!服まで着物に!」

板場にて。
「あれれっ、体が…おっとっと」「転ぶな!板場で女体盛りをつくる気か!?」「くそ、着物じゃ包丁がうまくさばけねえ!」

帳場で。娯楽室で。バーで…。女珀館中から悲鳴と絶叫の声があがる。
女珀館内の全宿泊客と、大女将を除く従業員全員が、薄桜色の着物に髷を結った若女将の姿になってしまったのだ。

どうすればいいのか戸惑った表情での若女将たち。
同じ顔、同じ体格、同じ服装が数百人、ずらりと大広間に並ぶさまは圧巻である。

大女将は、その中のひとりの前で立ち止まった。
大女将「あなたが本物のこうけいさんですわね」
わたし「はい。ご心配をおかけして申し訳ありません。
でも、どうしておわかりになりました?」
大女将「胸がちょっぴり違いますわ」
本物の若女将、こうけいだけはTSしていなかったのだ!
だから胸もパッドのままだったのである。

わたし「セールスレディでしたか」
大女将「ええ。わたくしが若女将を呼んでくれと依頼したのですわ」
わたし「なるほど。それで、元から若女将のわたしは変身TSの対象外だったのですわね」
大女将「そうだと思いますわ」
わたし「ところで大女将。わたしになんの御用だったのです?」
大女将「今日のTSサービスメニューの相談ですわ。
若女将のそっくりさんに変身というのをお客様におすすめしようかと思ったのですが。
…ほほほほほほ」
わたし「うふふふふふ……」

女性「依頼人さん、若女将が見つかってよかったですね。それじゃあねっ!」
(原案:真城 悠)

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