縦笛
作：こうけい



放課後、音楽準備室の扉の前。
１年Ａ組の武藤依子は決意を固めてノックをした。
「武藤です」
「入れ」
音楽教師の辻川が返事をした。
依子は扉を開いて中に入る。
「鍵をかけろ」
依子は言われるままにノブのつまみをひねって鍵をかけた。

「武藤…おまえ、呼ばれた理由はわかっているだろうな」
「はい…リコーダーの試験の成績が悪かったから…」
「そうだ。おまえ、歌うのは得意だったろ？なんで楽器はだめなんだ？」
「わたし…リコーダーって…あの笛を口につけるのが苦手なんです」
「だけどな、リコーダーが吹けなければ合格点はつかないぞ。留年だぞ。それでもいいのか？」
「いやです…いやですけど…」

「そこでだ、おまえを今日呼んだのはだな、追試をしてやろうと思ったからだ」
「追試って…わたし今リコーダー持ってないんですけど…」
「構わん。おまえが吹くのは、俺の特製の縦笛だからな」
そう言うが早く、辻川は服を脱ぎ捨てた。
「きゃっ！先生！」
依子の眼鏡のレンズの向こうには、辻川の黒光りする肉棒がそそりたつ。
逃げようとした依子だが、たちまち手をつかまれた。
「武藤、目をそむけるな！よく見ろ」
辻川は依子の後頭部をつかむと、怯える彼女の顔をぐっと自分の一物に近づけた。
「追試はこの縦笛だ！これが吹ければ合格だ！」
依子の目の前には、リコーダーの吹き口とそっくりの亀頭。
「先生、無茶なこと言わないでください！」
「何が無茶だ！吹かないなら留年だぞ！さあ、口をつけろ！」
「いやです！」
「なら留年確定だ！親御さんは心配するだろうな…」
その一言に、依子は小さく肩を震わせた。
（あたし…まだキスもしたことないのに…そんな…だけど…）
眼鏡のふちに溜まった涙を細い指でぬぐいながら、依子は決意した。
「…わかりました。吹かせてください」

「よし、なめろ」
依子は恐る恐る、肉でできた吹き口に唇を近づけた。
尿ともなんともつかない異臭が鼻を突く。
「うっ…不潔…」
「何か言ったか？吹きたくないなら吹かなくたっていいんだぞ。その代わり…」
「わかってます！吹きますからっ！」
依子は目を閉じて、唇をゆっくりと辻川の雁首に触れさせた。すると、肉棒はたちまちソプラノリコーダーからアルトリコーダーへと膨れ上がった。
「わっ！」
びっくりして思わず身を引く依子。
「離すな！」
（こ、これが男の人の…）
覚悟を決めて、依子はもう一度唇を雁首に触れる。

「縫い目のあるところに指を置け！」
「舌をリズミカルに使え。タンギングだ！」
「タンタタタンタタ、指を、もっと早く！」
辻川に言われるがままに、熱い肉の縦笛を吹く依子。
リコーダーの音ではなく、粘液と舌がぴちゃぴちゃ弾ける淫靡な調べが、音楽準備室に響き渡っていた。

「うっ…ん……、いい音楽だ…。武藤、やればできるじゃないか。もっと、もっと続けてくれ…」
股間と耳、双方からの快感が、辻川をいっそう興奮させていく。
縦笛が青筋を立てて震えるたびに、しょっぱい液体が依子の口の中へと広がる。
「ああ…いいぞ武藤…。さすがだ…」
辻川が快感に浸れば浸るほど、大きくなっていく依子の屈辱感。
悔し涙が、辻川の腹部にぽろぽろと垂れる。
（くやしいけど…恥ずかしいけど…しかたないんだ…）
自分がやっていることを頭で必死に打ち消しながら、依子は無我夢中で縦笛を演奏した。

「くぅっ…そろそろ、クライマックスだな……いくぞ…」
不意に依子の後頭部がグッと押さえ込まれる。
（だめ！出される…いやっ！）
依子は反射的に顔をそむけた。
粘液にまみれた辻川の雁首が、ずるりと依子の口をはみ出た瞬間、今までと違う熱い液体が肉の縦笛からほとばしる！
依子の前髪に、眼鏡に、鼻先に、制服のブラウスに、白い液がべっとりと付着した。

「あああ………」
液を拭き取ることもできず、呆然と固まっている依子。
「武藤、おまえ…どうして飲まなかったんだ…」
「先生……」
「せっかくの名演奏が、クライマックスで台無しに…！」
「……」
「残念だな。今のが飲み込めれば、リコーダーの試験は合格だったんだがな」
辻川はそう言いながら、依子に付着した白い液をちり紙でゆっくりと拭っていった。

「もう一度…やってみるか？」
辻川の視線が、ゆっくりと依子に突き刺さる。
何も言えずに黙りこくる依子。

「俺の先走りの味は！？」
「…………」
「黙っていちゃわからないぞ！合格したくはないのか？」
「…おいしかったです」
「よーし、じゃあ白い液だって飲めるよな？」
「……はい」
「そうだ！俺の白い液を、合格点だと思って飲み込むんだ！わかったな！」
「…はいっ」

ぴちゃぴちゃ…ぴちゃぴちゃ……。
たちまちのうちに回復した辻川の肉棒を、合格点欲しさに無我夢中でなめる依子。
「タンタンタタタン、うまいぞ、さっきよりずっと上達したな！」
依子は肉棒の縫い目に当てた十本の指をめまぐるしく動かす。
「おおっ、いい曲だ！うおっ、……くぅぅっ！」
辻川の声のトーンが上がった。クライマックスは近い。
（ううっ…！今度は飲まなきゃ！）

と、そのときだ。
音楽準備室に、不意にリコーダーの音が響き渡った。
「ん？なんだこの音は？」
辻川が驚く間もなかった。 今度は、粘液の中を何かが上下運動するような音。
ズプズプズプッ。ズププッ。
「ああっ！あはっ！あはん！」
辻川は、思わず何オクターブも高い声を出してしまった。
「ど、どうなって…あははんっ！」

依子も、口の中の感覚が変わっていたことに気づいた。
雁首が急に硬くなり、あの臭さもしょっぱさもなくなっている。
指に触れていたものも、弾力と熱を失って硬くなった。

辻川は目の前を凝視した。
依子が咥えているものは、自分の肉棒ではなかった。
肉棒のかわりに、なんとアルトリコーダーがそそり立ち、それが自分の股間にささっていたのだ。

「そ、そんなばかな！なんだこれは！？あはあんっ！」
ズプン、ズプン、ズプンッ。
依子の指でリコーダーが出し入れされるたびに、辻川の股間に本来ありえない快感が走る。

股間だけではない。股間から同心円状に全身に変化が訪れていた。
まず腰がふっくらと丸みを帯び、腹がくびれていく。足の腿が白くなり、生えていた毛も消えていった…。
「これは…俺が…あはんっ！……まさか…！？」

そう驚いている間もなく、辻川の胸、脛、肩、腕、そして頭部へと変化が伝わっていく……。
「ああっ、あっあっ…あははあああああんん………」
辻川は全裸の女性として、生まれて初めて体験するクライマックスに達したのだ！
さっき脱ぎ捨てたはずの服も、柄もののブラウスとタイトスカートに変わっていた…。

「私、リコーダーに自信が持てるようになりました。本当に先生のおかげです」
もとは辻川の一物だったアルトリコーダーを手に、依子は笑みを浮かべた。
「ありがとうございました！それでは失礼します」
依子は軽やかな足取りで、音楽準備室を後にした。

（お、俺のモノを…返せっ…！）
一物を失い女性になった辻川は、果てて横たわったまま、声にならない声でつぶやくのだった………。


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