西暦2020年9月

作:牡蠣 倶毛子




             1

 スラム化した東京の大都市の中。多くの商店が出店を出している賑わいのある道端を
マウンテンバイクで走り抜ける。
Tシャツにジーパンの格好である意味男らしいが胸の膨らみは隠せない。
女らしい格好が嫌でブラジャーもしていない。おかげで時々
「それだけ大きいんだからブラせんと形がくずれるよ」などと茶々入れられる。
そのたびに「俺は男だ」と言いかえした。
「まだ言ってるよ。いいかげん諦めなって・・」

こんなことになったのもあのウイルスのせいだ・・

 お好み焼き屋の二階が住んでいる所であり、急いで駆け上がると、
自分が一番かっこよく見えると思う服を選んで急いで着替える。
しかし、どう見ても女顔で体格も丸みを帯びてきている。
また胸のサイズが大きくなった気がする。
低い身長で白い肌と整った顔立ち美形でボーイッシュな女の子でも
可愛いといえる部類だ。美少女といってよい

 気を取り直して髪を固めてセットすると今日一日の予定を頭に浮かべながら階段を
駆け下りると、客の一人から
「ユウキちゃん。デートかい?」と茶々いれられる。
ちゃん付けはやめろと思いながらも
「ああ、彼女はあんた等の一万倍は可愛いぞ」と言ってやった。

マウンテンバイクに乗って目的地の彼女の家に移動する。

             2

 いつもは、明るい彼らも時折酒に入浸りになり情けないように酔いつぶれている時もある。浮浪者とほとんど同じ生活であり仕事が無いのもあるのかもしれない。
そんな時はいつも決まってユウキに卑猥なことばをあびせてちょっかいだすが
手を出したことは無い。
犯そうとはするが「ちっ、立ちやしねえ」と言うばかりで行動に移したことは無い。
そんな彼らを知っている、それに伴う原因を知っているからから大した争いごと
も起きないでいる。


異変が発覚したのが2010年。

当初は強力な環境ホルモンなどと思われていたのだが
世界各地で生体異常が起こり、ついにWHO(世界保健機構)が調査に乗り出した。
ウイルスや細菌によるものという考えもあったが女性化した人間のいずれも
それらしきものが感染した形跡はなかった。
原因がわかったのがその3年後、
人間にではなくむしろ植物に感染したウイルスが原因と判明する。

大腸菌の遺伝子に手を加えて人間の成長ホルモンを作らせる技術をご存知だろうか。
http://www.biowonderland.com/OmoshiroBio/JapBasic5.html

このウイルスは植物の遺伝子を書き換え女性ホルモンの一種を作りつづける
ようにプログラムする。
結果、小麦や米、大豆などたべものすべての中に女性ホルモンの化学物質が含まれていることになり、いやがおうにも女性化しつづける。

WHOは、日本の何処かの薬品会社の研究所からで人間のホルモンの生産に使われるウイルスが漏れ出したことによるバイオハザードだと結論づけた。

 それにより、日本の信用は地に落ち、世界有数の大都市であった東京もスラムへと
姿をかえる。

ウイルスの被害が出始めたのは十年前くらいと考えられているため勇樹も当時8歳の時は
まだ男だったことになる。
 成長期であった勇樹は姿形も完全に女性と見分けがつかないくらいになったが
当時、すでに成長期が終わりおやじと化していた男たちは見る影も無い。
時折、化粧をしてみたり女性物の服を着てみたりもしているが不気味としか言いようが無く可哀想に思えてくる。

しかし、胸を揉まれたり尻をなでられればさすがに蹴りがでる。

              3

 白いブラウスにスカートの姿でいかにも彼女らしい。
恵美は子供のときから一緒に遊んだ仲で俺の本当の姿を知る数少ない人だ。

「わぁ、いよいよ可愛くなったね。一度、私の服着てみない?」
第一声でこれだ。がっくり肩を落とすが、恵美の服なら・・
と一瞬考え込んでしまった。
「やめろって、知っているだろ。俺が男だって」
「うん。でも、今は女物の服を着た彼氏を連れたカップルは多いよ。同じ境遇だもん誰も文句言わないって!」
恵美は楽しそうだ。

都市の建物の多くがボロボロであり廃墟同然に錆びれている。
しかし、それでも定番のデートコースというものはあるもので
年代物の古くなった機械で放送しているちっぽけな映画館やどうにか営業しているゲームセンターなどを回り時間を過ごした。
しかし、街から明かりが消えたからこそ良いものもあり、
おかげで星空はきれいでロマンチックに過ごす。
廃墟のビルはよく犯罪者の溜まり場になっており多少の危険はあるものの
その屋上から見える星空の美しさの方が先にきてあまり深く考えられなかった。
考え方が女性化していたのかもしれない。

                4

 「おはよう。お目覚めの気分はいかがかな?」

古びた人が居なくなってだいぶ経つ事務室に机や椅子など多くは運び出されていて広くなっている。所々パネルが剥がれ落ち配線がはみ出している。
月明かり程度の明るさはまだ深夜ということだ。

男は、片手に銃を持ちもう一方の手には無線式のスイッチらしきものを持っている。
自体が掴めずにいると、恵美のあげき声が聞こえてきた。

「お、おまえら・・まさか・・」

男は、勇樹にも見えるように移動する。
恵美が何人もの男たちに犯されている姿があった。
恵美は宙ずりに縛られ男の相手している。

「こ・殺してやる」

男は楽しそうに笑うとスイッチのボタンを回す。
勇樹の両胸に付いた何かが勢い良く振動を始めた。
「うっ、うわーっ」

・ ・これは、ローターというやつか・・

振動が最弱になるが始めての感覚で戸惑う。

勇樹自身も両手に延びたロープが天井まで達していて動けない。

「そこで、じっと見ていろ。」

「ん……ぅ……っ……………ん………。」
ローターの振動がきつい

男は、恵美の口に自分のペニスを近づけるとフェラを強制する。
恵美は一瞬、勇樹のほうを見て恥ずかしそうな顔をすると
何もいわず男のペニスを口に入れる。

(や、やめろ・・)

ロープはしっかり結んであり切れる気配も無い。
手首から血が垂れてきている。しかし、それも気にならない。

「ね・・ねぇ、同じ娘とばかりじゃ飽きてきたでしょ?こんどはあたしを相手してよ」
勇樹はできる限り色っぽい声で誘う。ローターは今だ振動を続けていた。


「だ・だめよ、勇樹!!」

「ほう、ユウキちゃんというのか、ローターが効いてきたのかな?」
男はニヤニヤしながら近づく。
ロープの紐を切るとユウキを男の前に座らせる

「ほら、これがおまえが欲しがっていたチンポだよ。フェラは始めてか?」

ユウキは無言でペニスの先を舐める。フェラをしようとして、しかしできなかった
(・・これを口に入れるのか?)

「ほら、どうした?」

「リーダーやっぱりあの娘相手したほうがいいんじゃないすか?」

「勇樹やめて!!」

「ほら、あの娘もああ言っていることだし・・」

(恵美のためだ・・)
ユウキは両手で相手のペニスを握りなおすと口の中に含みしゃぶる。
「うぐっ、・・んっ・・・あんっ」
演技ではない甘い声が出る。男がローターの振動を調節していた
(・・あ・・熱い・・体の芯が・・)
あの妙な機械のせいか?

「はぁはぁ・・はぁ」
(いやだ・・欲しい・・)

男の一人はユウキの乳房を掴み遊ぶ
(・・これが女の子の快感?・・そんな・・負けそう)
(だめだ・・俺は・・男だ・・これは恵美を守るためなんだ)

「ねえ、なぜ、あなたたち、女性化の傾向がみられないの?」


カチャ、カチャと音がする。もう一人の男がユウキのズボンのベルトを外している。
下半身裸の状態になり勇樹のとても小さなペニスが露出する。

「それはどう言う意味だ・」
「そのままの意味よ」
ユウキは二人のペニスを握ってしごきはじめる。
出来るだけ恵美を犯させないために・・
しかし、それだけだろうか?

「・・俺達の任務は種の保存だ」

(・・・任務?)

「多くの女を犯し種子をばら撒く事。まだホルモンの影響を受けていないガキ(男)を見つけたらつれて帰ること。それが任務だ。
生殖能力をなくした男と女だけの世界では少子化どころの問題ではないからな

場所は言えないが隔離された生態系システムをもつ施設がある。
そこがわれわれの本拠地でそこで暮らすから身体に変化も起こらない
外界に出ても外の食べ物を食べない限りは安心だ」
話し終わると男は恵美の方へと向きを変え歩き始める。・・恵美を・・犯すつもりだ・・

勇樹は唖然とする。・・・そんな・・こんなことが認められるわけ・・

もう一人の男はユウキのアナルの中にペニスを突っ込んできた。
「うっ、痛っ、・・んっんっあっ!・・・あああっ! んあああああっ!!」
(・・そんな・・入ってくる・・)

また、恵美のあげき声が聞こえてきた。
「いつかおまえ達を見つけて殺してやるぞ」ユウキは叫ぶ。
男は笑いながら「それは楽しみだ」と答える。まったく気にしていない
「これが今のおまえの姿だ」
(こんなところに鏡が・・)
やはり元は事務所の一室。机や椅子は片付けてあったが貼り付けの鏡はそのままで
そこにはつながったままの淫らな少女が映っていた。こんな感じた女の顔で・・
しかも、男は腰を使い始めた。しかも自分が感じ始めていることが情けない
 「ほら歩け」
何を思ったのか男はユウキのアナルに入れたままの状態で歩くことを強制する。
ペニスをなるべく感じないように前かがみに歩くと乳房がそのたびに揺れる
ローターの振動が自分の身体が女であることを訴えつづける
時折、胸を揉みながらユウキの背を伸ばし歩かせようとする

「く……ふぅ……っ………ん………ゃぁ………。」
(見られてる・・こんな姿を・・恵美に・・)

恵美はユウキが近づくと抱き着いてきた。
お互いの乳首を重ね合わせながら唇を重ね合う。
お互いの舌の感触を味わった。
共に男のペニスを入れられたままで・・
「あぅ………ん…………はぁ…………ちゅ……ぷ…………くちゅ………」

顔を離すと唾液を交換していた一部が流れ出る。
「ごめん。助けられなくて・・」
「いいの。でも勇樹もこれからは女の子だね」

            5

口紅をしてアイシャドゥを塗る。まだそれほど化粧も上手くない。
恵美からもらったキャミソールとミニスカートに着替えると
デートまでの時間までだいぶ間があることに気づきテレビでもつけて
暇つぶしをする。今日は恵美に女性ものの下着を買う付き添いを頼んでいる。

テレビのチャンネルを切り替えていると気になるニュースを見つけた。
あのウィルスをばら撒いた犯人が捕まったというのだ。
今はそうでもないが、かってはどんなに恨み続けたことか・・

有名な大学の生徒らしい。遺伝学において天才的能力を持っていたらしいのだ
犯行前にどうやら複数の男に何時間も屈辱的に犯され続けたらしい。
男性というそのものに相当な恨みをもっていた
今では彼女の気持ちもわかる気がする。
あの男達にどんな正義があろうと私は決して許さない

死刑判決が出たとき彼女は
『男なんてこの世からいなくなってしまえばいいのよ』と叫びつづけていた。






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