「TS批評 番外編」

「おふび〜つ」にて猫野丸太丸さんが担当しています、オンラインTS作家の紹介記事「TS批評」。ジャージレッドさんをはじめ、すでに7人の作家さんが紹介されています。

2003年のエイプリルフールにあたって、この記事の“こうけい編”を“捏造”させていただきました。
その結果、いつの間にか、わたしは女性器形成手術を受けて男のひとと婚約していたことになったのでした(爆) ほんとうにそうだったらいいのに。
ただし、「こうけいさんへの質問」部分は、わたしの本音を真面目に書いてますので、プロフィールとしてお読みいただければ幸いです。

まあ、本音を言えば、そのうちわたしもおふび〜つの本家「TS批評」で紹介されたいなあと思っているわけでして、その願望を擬似的にかなえるために今回の記事を書いたわけです。
猫野さん、記事のフォーマットの無断借用すみません。もしも、わたしが本当に紹介される機会がありましたら、この記事以上に鋭い批評を待ってます。

なお、うさぎとあひるのアイコンは、@niftyのフリー素材を使用させていただきました。本当は、ホンモノのTS批評同様に犬と猫にしたかったのですが、めぼしいアイコンが見当たらなかったのでかく相成ったのでした。
作品紹介の上の写真の、セーラー服を着たモデルはだれかって? それは言わぬが華でしょう。

それでは、コメントつきで再掲載いたしました「TS批評 番外編」を心ゆくまでお楽しみください。(2003年4月4日)



うさぎ TSファンの皆さーん! 新年度のスタートですねー!
あひる 入学式や入社式の席で読むにも最適! 日本のTS小説サイトを紹介するページ、TS批評でっす。
うさぎ ちょっと待て、いつもとアドレスが違うじゃんかよ。フレームもねえし、第一なんで俺がうさぎなんだよ。
あひる まあ、俺もあひるだし、年度初めの特別編ってことでゆるしてくださいな。
今回は、フィクションを越えてTSをやっているTSF作家さんを紹介します。
うさぎ フィクションを越えて? どういう意味だ?
あひる いわば、現実世界で自分自身を主役にしてリアルタイムでTSFを演じているってことだね。
うさぎ それって要するに、リアルなMTFトランスってことか? ガクガクブルブル。
あひる TSFファンって、リアルのほうには抵抗を示すひとも多そうだよな。
うさぎ だけどな……、ちょっぴりだったら、見てみたいかなあって思ったりして。
あひる うん、何にでも好奇心を持とうという姿勢は大切だよ。
うさぎ ところでリアルMTFって、具体的にはどなた? もしかして、あの人かしら?
あひる 違うんだなあ、温泉観光旅館の、この人だよ。
こうけいさん 新しい制服 新しい性別 新しい恋 TURNED SIDE
「なんだかあたし、これからも葉月さんにお世話になるような予感がするんです。よろしくお願いします」
ウソ!?さらりと出た“あたし”言葉。
次の瞬間俺は、自分を“あたし”と呼んだほうが、会話がしっくりいくことに気づいてしまった!

新しい学校、新しい制服。
そして新しい性別に、新しい恋。
時代はひっくり返ったんだ。ガールズサイドへと。

(『TURNED SIDE』 より)

でっす!!

あひる “こうけい”さん、またの名前を“公恵(きみえ)”さん。2000年に『昼休み』で少年少女文庫にデビュー、2002年にはおふび〜つで『BACK TO THE FEMALE』を連載し、同年に個人サイト「こうけい。オルグ」を開設したんだ。自サイト上では観光旅館「女珀館(にょはくかん)」の若女将としてもおなじみだね。
うさぎ リアルMTFのほうは?
あひる 2001年、少年少女文庫のオフ会にMTF姿で出現したのがTSF業界でのデビューかな。以後は創作活動と両立させながら職場カムアウト、女性ホルモン、豊胸、去勢、本名改名とコマを進めていって、先日とうとう某外国で女性器形成手術を済ませてしまったのさ。
うさぎ へええ。そのまま医療系TSFにできそうな略歴じゃないか。
あひる 風の便りによると、男性のかたと婚約されたとか。
うさぎ うわあ、すごいや! おめでとうございます! って言っていいのかなあ。
あひる うーん、確かに手放しでは喜べないね。戸籍は男のままだから、男性相手に正式な婚姻届は出せないらしいよ。事実婚しかできないなんて大変だよねえ。子供だって産めないんだ。
うさぎ やっぱりリアルの話題はしけるなあ。フィクションに戻そうぜ。
あひる そうだな。こうけいさんの作品は変身TS短編が多いんだけど、その特徴といったら……着眼点かな。華代ちゃんシリーズの『プラグ』や『街路樹』では無生物や植物までもTSさせるし、『スタッフたち』では夏コミのスタッフ集団女装事件をTSFに置き換えているよ。
うさぎ チェスのルールを応用した『少年! クイーン』にも驚いたね。
あひる 連続物はといえば、結末をきれいにまとめてくれるよな。
うさぎ 『昼休み』の第1回のときは、単にダークな作風なひとかと思ってたけど、最終回はダークな中にハートウォームを巧みに織り込んでいて、話をきちんと収束させてたもんな。
あひる 詳しくはネタバレになるから言わないけど、『BACK TO THE FEMALE』の最終回にもびっくりさせられたよ。
うさぎ あと、パロディ作品では、元ネタがわからなくても楽しめる作品を書いてくれるよな。
あひる そうそう。そこで今回取り上げたのが『TURNED SIDE』。こうけいさんの人柄が表れている一品だ。女性向け恋愛ゲーム『ときメモガールズサイド』のパロディ小説だね。
うさぎ 『ときメモ』ってのは、もともと男性向け恋愛ゲームシリーズだったんだろ?
あひる ご名答。『ガールズサイド』は姉妹編さ。
だけどな、男性向け『ときメモ』はともかく、『ガールズサイド』なんてTSF作家はあまり取り上げてないだろ?
うさぎ 確かに。TSF作家がパロディにしがちなのは、コミケとか同人誌即売会で男性読者が多く集まるジャンルだなあ。
あひる そう、女性向けジャンルを敢えて取り上げたのがこうけいさんならではの着眼力なのさ。「男性向けだったゲームが女性向けになるってことは、ユーザーが男から女へTSすることに通じるんじゃないのかな?」ってテーマを提げて。
うさぎ それで、ユーザーの分身である主人公の“俺”を“あたし”にTSさせたってことかい?
あひる ああ。ここに、リアルMTFとして女性に近づきたいっていう、こうけいさんの願望があらわれてるのさ。まあ詳しくは、とにかく読んでみろよ。
うさぎ おうとも。……ところで、さっき年度初めの特別編って言ったよな? ってことは、今日の日付は、まさか???
あひる ……それでは、質問コーナーいってみよー!!!
うさぎ ヲイこら、逃げるなよ!

こうけいさんに質問
1.TS小説を書き始めたきっかけは?
 もう何年も前になりますけど、“ゲーム『トゥルーラブストーリー』の入れ替わり物”を書きたいと思ったことですね。これって最近やっと『トランス・ラブストーリー』として連載を開始できましたけど、そのことはさておいて。
 書きたいと最初に思ったころのわたしは、“ストーリー”なんてものの書き方がどういうものなのかつかみきれなくて、自分の中で逡巡したままアイディアを封印してたんですね。それがある日、リアルMTFのホームページからのリンクでふと見たゆっこさん、今は月夜眠さんっていうんですよね、そのかたの「ゆっこの不思議な部屋」を読んで、「なるほどTSFってこうやって書くものなんだ!」って気づいたわけなんですよ。そこで変身物の洗礼を受けたのが、わたしの変身物書きのスタートラインだったと思います。
 ゆっこさんのページから今度は「少年少女文庫」に飛んで、TSFを書く側にまわったというわけなんです。
 最初に書きたいと思ったのが入れ替わり物なのに、参考になったのが変身物主体のページっていうのが、ちょっと回り道してますよね(笑) でも、それがわたしの作風の裾野を広げてくれたのかとおもっています。

2.どんなタイプのTS小説が好き?
 「どこかで見たようだけど新しい」作品が好きですね。TSのシチュエーションでも、キャラクターの設定でも、ストーリーの展開でもいいんですけど、読んでるときに一瞬戸惑って次に「なるほど」と納得するような何かがある小説を読みたいです。
 ジャンルでいったら、わたし自身の作風にも似て、どうしても変身物を多くチェックしちゃいますね。次が入れ替わりや脳移植物かな。あと、“自己変化”が好きですね。変身に限らず、入れ替わりなり憑依なりで別人になった登場人物っていうのは、今までの自分を一時的にしても強制的に放棄させられて、新しい自分像を強要させられるんですよね。その過程やギャップを楽しみたいんです。性別までもが変わるTSだと、自己変化前後のギャップがさらに大きくなる。それもTSFの魅力のひとつだと思います。
 わたし自身リアルMTFなひとなんで、医療系TSFも読みますけれど、今のところは自分で積極的に書いてみたいとまでは思いませんね。身近すぎるものは、書こうとすると「うまく書かなきゃ!」っていう余計なプレッシャーがかかってしまうんです。それに、わたしのサイトの読者さんのシュミにも配慮したいですしね。

3.ご自身のTS小説のポイントを教えてください。
 はじめに結末ありき、かしら。
 わたしは小説の案を練るとき、たいていは結末から思い浮かんでくるんです。途中の展開は書いていくうちにどんどん変わっていくんですけど、はじめにひらめいた結末はまず変わらない。だから、思いついた結末まですぐにペン――じゃなくてキーボードを叩く指ですか――を進めることができる、短編をよく書くんでしょうね。
 長編を書くときは、ひらめいた結末から逆算して世界観などの設定や途中の展開を試行錯誤しながら決めていくんです。できあがったものを冒頭から読んでみて、きれいにつながったときが快感ですね。

4.では、次回作の構想は!
 わたしは短編中心のひとというイメージが強いですけれど、今年は連載ものや長編に力を入れていきます。
1)オリジナル魔法少女物(タイトルは秘密)
 4月上旬、つまりもうすぐ発表する予定で、今第1話の追い込みにかかっています。ストーリーは、異星人から魔法をもらった地球人の青年が、TSして魔法少女兼アイドル○○として活躍するもの。というとあまりにありきたりなんですけど、詳しく言うとネタバレになるので許してね。「妖精さんの本だな」さんに投稿する予定です。
2)トランス・ラブストーリー
 第1話好評発表中です! 第2話以降では、ゲームにも登場する、輝一の幼なじみ・広瀬のぞみや悪友・大須賀なども登場して、入れ替わった綾音と輝一をかきまわします。『トゥルー・ラブストーリー』のエッセンスを入れ替えTSFと掛け合わせると何が起こるのか?
3)BACK TO THE FEMALE Part2
 “あの映画”を元ネタにしたタイムスリップ物の続編です。今回は、女装少年になった水晴にスポットを当ててみました。未来からやってきた水晴の子供は何をしようとしているのか? 前回は活躍の場が少なかった、雅未の恋人・剛くんが動き回ります。夢人先生のタイムマシンも大幅モデルチェンジ!
4)ナーズウィッチ晴子ちゃんマジカルと
 第2話が遅れててスミマセン(冷汗) 原作の『あぃまぃみぃ!ストロベリー・エッグ』本筋のストーリーをナーズウィッチがぶった斬る本編と、ひたすらコミケネタ、オタクネタに突っ走る番外編の2シリーズを考えています。
5)あれから
 中学生のときに入れ替わって少女となった元少年は、入れ替わり相手の元少女とも別れ、それから15年に月日がたちました。男性と結婚してパートタイマーとなった元少年に、入れ替わった昔のことを思い出させる事件が起こる……。現在と15年前のストーリーを並行させて描く予定です。
6)ぱられる・すきゃんだる(仮称)
 女装(MTFTV)物で芸能界を舞台にしています。主人公は少年アイドルタレントですけど、女装が似合うということで女性として美少女アイドルユニットに加入させられてしまうのです。TSは絡んでくるかもしれないし、こないかもしれない……。

 ありがとうございました!

 では、愛と混沌のTS世界を、こころゆくまで楽しんでくださーい。

こうけいさんの作品はここで読める!

 妖精さんの本だな
  魔法少女物(予定)
 少年少女文庫
  昼休み、華代ちゃんシリーズ「なりきり」、変奏曲、姫神奇譚外伝「正直物は」・「神の領域」・「Ah! My Goddess」・「始業式」、姫神奇譚外伝「血」(亜希みちるさんと合作)、連想ゲーム21、かわりすぎ、ベビーブーム
 風祭文庫
  画廊
 KEBO−CH
  女珀館10000HIT記念作
 山奥の妖館
  女珀館30000HIT記念作
 mk8426の「仮」ぺえじ!
  試験問題、女珀館50000HIT記念作
 夢幻館
  女珀館70000HIT記念作
 おふび〜つ
  BACK TO THE FEMALE
 こうけい。オルグ
  トランス・ラブストーリー、女珀館の若女将シリーズ、ナーズウィッチ晴子ちゃんマジカルと、少年!クイーン、天神様がみてる、大使公邸にて、スタッフたち、TURNED SIDE、チカン電車、縦笛、とあるCMシリーズ、その他多数(上記サイトとの重複作もあり)

mailto: koukei@koukei.org
Last update: 2003/04/01(Tue) (April Fool's day)
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